帰り道。 綾芽は自分の手をこすったり、息で温めようとしてる。 俺は…ポケットに手を突っ込む。 手は貸さない。 みじめになるのは俺だ。 それでも、綾芽は少しずつ俺に近づいてくる。 「歩きづらい」 「…寒いんだもん」 「……」 「……」 俺は何も言わなかった。 綾芽も、何も言わなかった。