「…どうしたの?」 しばらくの沈黙の後、綾芽がゆっくりと言った。 俺は、綾芽と目を合わせられなかった。 「…姉貴がお前にケーキ焼いたから持ってきた」 「夕緋(ユウヒ)ちゃんが…?」 「用事あるから俺に持ってけって。…それだけ」 綾芽を見ないまま、ケーキを渡してリビングを出た。 靴を履いて、ドアを開けようとしていた時ー… 「っ…日向!」