予定よりずっと早く準備が終わってしまった。

何か忘れたことはないか、と部屋を見渡してみても何もない。

第一、こんな格好じゃ、できることも限られてくるけど。




30分も早く家を出た私の足は、無意識のうちにある場所に向かっていた。

たどり着いたのは、高校の近くにあった喫茶店。

高校生の頃、放課後にみんなで通ったな。

みんなの中には、もちろん彼もいて。

お金がないから、みんなで分け合ってパフェを食べた。

彼は甘党だったっけ。

生クリームを嬉しそうに食べる彼の笑顔が、ふと浮かんできた。




そういえば、喫茶ノムラには、バレンタインのウワサがあった。