頭は切り替えたはずだった。

それでも。

鶴亀算を解きながら、浮かんでくるのは、あの顔で。

旅人算を解説しながら、よみがえるのは、あの声で。

たった1つ。

アレさえなければパーフェクトなのに。


「はぁ……。」

「ミツキ先生?また、ため息?」

「ん?いやね、マキちゃんは大変だなぁ、って思って。」


こんなので、ごまかしきれただろうか……?


「合格したい?」


コクンと、マキちゃんが頷く。


「それじゃあ、あと1年、頑張ろうね。」


よくわからない励ましで、私は今度こそ先生モードに入った。