だからこそ、俺は余計なことを、



考える余裕なんかないくらい、



必死でただひたすらにサッカーにのめり込んだ。



サッカーボールを追い掛け、走って、蹴って、走って……



無我夢中で練習している時だけは、



姉ちゃんのことを考えなくてすむんだ。



『エイトはレイナみたいに頭良くないし、高校はサッカーで、推薦で行くようかしら…』



母ちゃんのつぶやいた言葉に、



今までの俺なら、



『行けりゃあ、どこでもいいよ…高校なんて』



ってさ、適当に答えただろうけど、



今の俺には目標が見えてきたから、



『俺は姉ちゃんと同じ高校受けっから!!』



何の迷いもなく、堂々と宣言したんだ。