水族館の入り口に着くと、沢田君兄弟はもう来ていた。


うわぁ、遅刻?
私遅刻した?

早足になりながら携帯を見る。

待ち合わせは10時。

ん?5分前だ。
遅刻したわけじゃなかったんだ。よかった。


「おはよう」

私の声に気が付いた沢田君兄弟がこっちをみる。

「ん?・・・あ、おはよう」

「ごめんね、待たせちゃった?」

挨拶したまま固まってる沢田君。

あれ?

も、もしかして変なのかな私・・・。

「あの〜、沢田君?」

名前を呼ばれてハッとしたみたい。

「あ、俺達も5分くらい前に来たところだから」

ニコッと笑う。

うわっ、朝からその笑顔。クラクラしちゃいます。

「こいつが俺の弟、舜(シュン)」

沢田君の後ろに少し恥ずかしいそうにしている男の子がいた。

「ほらっ」と、促されて舜君は私の前に立った。


「沢田 舜です、今日は誘ってくれてありがとう」

「あ、川上 純です。今日は来てくれてありがとう。よろしくね」

ニコッと笑うと、舜君も笑顔で返してくれた。

笑顔が可愛いぃ!

・・・・・でも・・・私より背が高い?・・・まさかね?

「沢田君」

「「なに?」」

二人で返事をする。

え!?
・・・あ!当たり前!どっちも『沢田君』だ。


「あ〜、そうか、どっちも沢田だからややこしいな。・・・名前にして」

沢田兄の言葉に、

「な、名前?」

明らかに動揺する。

ヤバイ、名前で呼ぶって緊張する。



バクバクバクバク・・・