「ふぅー、解けたぁ。」
私は壁に寄りかかり大きく息を吐いた。
「少し休むか」
サトル君がぱたんと教科書を閉じる。
「それにしてもお前、数学ダメダメだな。
ちゃんと授業受けてるんだろ?」
「受けてるつもりなんだけど…」
「文系なんだな」
「うん…。サトル君は?」
「俺はどっちでも平気。どちらも飛びぬけてすごいわけじゃないから。」
そして彼はこう付け加えた。
「だから迷うんだよなぁ…」
「迷う?」
私が聞き返すとサトル君がうなずいた。
「俺は美術の大学に進学したいわけ。
でも、親は自分の仕事でもある医学系の道に進めって…。」
「ああ…そういうことか…。」



