けれどもし、これを“恋”と呼ぶのだとしたら、それは間違いなく“片想い”。

『2つ下さい』

彼の口は、確かにそう動いたのだから。

2つのルミエール……。

男性が自分だけの為に、わざわざケーキ屋でプリンを2つ買うだろうか。

はぁ。

2度目のため息は私の目の前に広がり、そこにルミエールの箱を差し出す彼と、それを受け取る愛らしい女性の影が映し出された。


沈みかけた気持ちを少しでも切り替える為に、感想ノートの欄をクリックしてみる。

今書いたばかりの作品に感想などつくはずもないのだけれど。

もしも……。

小さな期待。

『──ないか……』

やっぱり。

開いた画面には“感想はまだありません”と言う無機質な文字が並ぶだけ。

私はポケットに手を突っ込み、500円を取り出した。

『ミルクプリン買いに行こうかな』

店にあるルミエールは、洋風のミルクプリンみたいなもの。

食感はもう少しババロア寄りだけど。

小説を書きながらルミエールを思い出していると、無性に食べたくなってしまった。

と言うより、沈みかけた気持ちを甘さでごまかしたいだけかもしれない。