体が勝手に動く。
逃がさないように捕まえる。

酷く驚いた顔で俺の顔を見る。

昨日、本屋にいた一目惚れの人が、そこにいた。

綺麗な黒髪に綺麗な瞳。
眼鏡を外せばきっと綺麗なのに。

「あの…何ですか?」

「いや、ほら?俺覚えてない?君、駅前の本屋でバイトしてるよね」

怪訝な顔が丸出しだ。

「そうですけど。
手、離してもらえますか?」