~黒木樹希の事件簿~


突然、瑠璃を追いかけていた樹希が止まった。

「…あーあ。疲れた」


それだけ言うと、樹希はさっき座っていたソファーに、
どかっと腰をおろした。

ちょっ、早い…
しかも、おばさんみたいな座りかた…
思わず吹き出しそうになった。

「相変わらず運動神経ないねー樹希ちゃ~ん」

さっきの仕返しだろう。
瑠璃の目が光ったような気がしたのは、恵里佳だけ?

「瑠璃、ちゃん付け気持ち悪い」

しゃべり方がムカついたのだろう、樹希は、キッと瑠璃を睨んだ。

「気持ち悪いとか…
幼馴染みに対して、それはないでしょ」

瑠璃がふざけて、ひどい…と、泣く真似をしだした。

「誰の目から見ても、うそ泣きバレバレだよ」

「げっ…バレたか」

「いや…そのうそ泣きで騙される人は、病院いった方がいいだろ」

まぁ…確かに今ので、騙される人はいないと思う…

「黙れ、運動音痴」

「自覚しとるわ」


となりにいた、真希ちゃんが、フッと吹き出した。

ていうか、自覚してるんだ。