途端に樹希はバッと顔を上げた。


突然顔を上げた樹希に、逆に瑠璃が驚いてる。

今のはまぐれだろうか?
それとも、気配でも感じた?


樹希は後ろに立っている瑠璃と、恵里佳の横にいた真紀ちゃんを見ると、明るい声で
「やぁ」と言った。

「瑠璃も真紀ちゃんも今、来たの?」

こりゃあ、驚きだ…
どうやら、本当に気づいていなかったらしい…

「さっきですよね?」

真紀ちゃんが、ちらっと瑠璃を見る。

「え!いつ教室に入ってきたんだ?」

うらやましいくらいの集中力だ…

「本当にさっきだよ…あのさ…本当に気づいて無かったの?」

思わず質問した恵里佳に、樹希は笑顔で「うん」と答えた。

可愛い笑顔で返されたら、こちらも返す言葉がない…

「その集中力を少し分けて欲しいよ…」

瑠璃の意見に私も同感だ。