『もし良かったら……今度、食事でもどうですか?』


意外な彼の誘いに、私は一瞬、驚く。

短い沈黙の後私は小さく笑みを浮かべ、返事をした。


『いいですよ』


私の返事を聞いた途端、彼は仕事中には見せたことのない、嬉しそうな……恐らく素であろう笑顔を向ける。

僅かに目尻を下げて笑う、優しい笑顔。


あの日の彼の笑顔は、1年経った今でも私の脳裏にしっかりと焼き付いたままだ。