″好きだ″なんて、今まで一度も言ったことなかったクセに。


例えそれが会話の中のたわいもない言葉だったとしても、身体の奥深くに隠れてしまっていた心臓の鼓動が、つきり、と私の心を突いた。



サラダ、メイン、パスタとコース料理に舌鼓を打ち、デザートとコーヒーが運ばれて来る頃には、眼下に広がる街の景色は一段と輝きを増していた。


テーブルの上のフローティングキャンドルに視線を落とす。

赤と緑のポインセチアのコントラストが、仄かに揺れるキャンドルの炎に柔らかに映えていた。


「ねぇ、蒼。……初めて出逢った時のこと、覚えてる?」


ふと出逢った頃のことを思い出し、私は彼にそんな質問をした。