トクトクと、不規則に身体の奥深くに響く心臓の鼓動を感じながら、分厚い窓ガラスに映る自分の顔に焦点を合わせる。


指先が、冷たい。


煌めくイルミネーションをバックに、私は窓に映った自分に小さく微笑み掛けた。


仲睦まじいカップルが談笑する店内に程良いボリュームで流れるのは、当たり前のようにクリスマスソングばかりで。

照明を落とした大人っぽい雰囲気のこの店に良く合う、バラードだ。


私は広いテーブルの上に忘れられたままの、携帯電話に視線を落とす。

それはただ時間を告げる為だけに、淋し気にそこにあった。