「だーめ!夜勤明けに真っ先に本屋さんに行くから。いつでも私が、陸のいちばんのファンなんだから、ね?」

「うん、ありがとう」


抱き締めた君の華奢な身体から、優しい香りが広がった。


透明な秋の空気の中で、君の温かな体温が心地良い。


僕はきっと、これから何度でも、君を追いかけて走ろう。

それが、僕は楽しいんだ。

少し忘れっぽい君が、たまらなくいとおしいから。


君と初めて出逢った店の前には、秋咲きの深紅の薔薇が、優しく風に揺れていた。












「そして僕は走る」

〜 Fin 〜