「あっ、そう言えば、明日新刊の発売日よね?」

「それは忘れてないんだね」


僕がお道化てそう言うと、君はもう、と僕の腕を優しく押した。


「絶対、出版社から貰っちゃダメよ?」


毎度のことながら、君の念押しに僕は苦笑いして答える。


「はいはい。タダで貰えるのに、わざわざ買わなくてもいいのになぁ」


最後は独り言のつもりで言ったのに、君はいつものように上目遣いで僕を睨んだ。