「うん、そうするよ」


僕はキーボードを叩く手を止め、テラスに出た。


アールグレイが仄かに香るティーカップを片手に、僕はテラスの柵に凭れ掛かる。

そして、大きく背筋を反らせた。


今僕たちが暮らしているマンションのテラスからは、森林公園がよく見渡せる。

そして無口なマスターがいる、あの店も。


僕たちの住む町が、優しい秋の色と光に満ちていた。