一点の曇りもない青が突き抜ける空と、合わせ鏡のように広がる青碧の海。

向こうの断崖の淵までせめぎ合うように生い茂った緑がほんのりと煙り、小さな岬の外れには陽に灼けたボートが一雙、穏やかな波に揺れている。

足元には抉るような曲線を描き、赤褐色の土が剥き出した斜面が駆け上るように続いていた。


ここは、神々が宿る神秘の島――


この場所だけはいつまでも、いつまでも変わらずにいて欲しいと、少女は願う。


強い風が吹き抜ける。


少女は今日もこの丘の上で、褪せることのない深く鮮やかな色を、微笑みながら見下ろしていた。

甘く幸せな香りをその身に纏い、柔らかな花弁が強く優しい風に、ただ揺れていた。











「白い花の咲く丘で」

〜 Fin 〜