「聞こえ……た?」


少年はほんの一瞬瞳に悲し気な影を落とした後、にっこりと微笑んだ。


『小さな君の、汚れない笑顔を抱き締めることはできなかったけれど……パパは片時でも、君のことを忘れたことはなかった』

そう静かに口にした少年は、優しく少女を抱き締めた。

『……愛してるよ』


溢れる涙を、止めることができなかった。

まるで、生まれてこの方一度も会ったことのない父親に、抱き締められているように思えた。


少女は、少年の胸の中で声を上げて泣いた。

泣くことで、こんなにも心が安らぐことは初めてだった。