「じゃあ、私のパパの言葉も……聞こえる?」


長い睫毛を震わせてそう訊ねる少女に、少年は優しく微笑んだ。


「勿論さ」


そう言うと少年は瞬きもせずに、じっと水平線の彼方を見つめた。

瞬間、凪いでいた丘に激しい突風が吹き抜けた。


「っ……!」


咄嗟に顔を伏せる少女とは対象的に、少年は強く吹き付ける風にゆっくりと目を閉じる。

微かに異国の香りを含んだ風を全身で受け止めるように、細い両腕を広げた。


強く巻き上がっていた風が、柔らかなそよ風に変わる。

暫しの間の後、少年は不意にその大きな目を開いた。

そして、すぐ傍らに佇む少女の顔に視線を移す。


少女の薄く小さな胸が、どきん、と高鳴った。