『……何で、オレンジな訳?』


私の好きな雑貨店のベージュの紙袋からそれを取り出した彼に、密やかに眉を顰める私。


『だって莉子は、オレンジ色って感じだから』


私は原色や暖色系の洋服は好まないし、どちらかと言えば、モノトーンが好き。

そんなこと、彼だって知っている筈だ。


どこからそんな思考が飛び出して来たのか、余りに的外れな彼の言葉に私は呆れて小さく溜め息を吐く。


――だけど、いつしかそれは。

こうしてここへ来る度に、なくてはならない私の特別な、指定席になっていた。