僕には、彼女が必要なのだ。

そう感じた。


僕の手に重なる彼女の手を取り、ぐっと握り返す。


「矢野さん。もし……もし僕の記憶が戻ったら、僕と結婚して貰えますか?」


自分でも馬鹿げたことを口にしたと思う。

彼女にとって僕は、どこの馬の骨かもわからないただの入院患者の一人に過ぎない。


だがそれはいつからか、僕が心から望んで止まない気持ちだった。