ぼんやりと淡い春の夕陽を背に、逆光に浮かび上がる家々の屋根を眺めていた。

少し肌寒い夕刻の風が、シャツの裾をはためかせる。


この頃は随分と日が長くなったものだ。

このところ暖かな日が続いていて、ここからこうして穏やかに暮れ行く町の景色を眺めるのが、今の僕のささやかな日課だった。