「莉子……一緒に、来て欲しい」


静かに、凛とした口調でそう言った彼の顔を黙って見つめる、私。

予想外の、想像もしなかったことを聞かされた時、驚きすぎて声が出なくなることを初めて知った。


「ずっと、……莉子と付き合い始めた時からずっと、結婚のことは考えてた」


またしても思いもよらない言葉を聞いて、私はまた言葉を失ってしまう。


そんなこと、考えてくれてたんだ……


正直言って、私は彼との結婚について真剣に考えたことはなかったし、このまま一緒に居たらいつかは結婚するかもしれないな……という程度にしか、考えていなかった。

それに何より、今の関係が私にとっては楽だったのだ。