その余りに遠い距離に、私は一気に身体中の力が抜けた。


日本なら、まだしも。

デトロイトなんて、遠すぎる。


瞬間的にそんな考えが頭を過った私は、自分が彼を失いたくない、と強く感じていることに気付き、小さく唇を噛んだ。

でも、次の瞬間には。


「おめでとう!良かったわね。栄転じゃない」


そんな言葉が、口を衝いて出ていた。

彼は目線を少し床に落とすと膝を抱えたままの私の手をぎゅっと握り締め、また真っ直ぐに私の瞳を見つめた。