母と美咲が眠るこの桜の古木だけは、十年経っても二十年経っても、変わらずこの場所で僕の生まれた町を見守り続けていてほしい。

そしていつかまた僕がここに帰って来た時は、空に近い場所から、僕を優しく見下ろしてくれるだろうか。



“お帰りなさい”――


そんな言葉と共に。





桜の花弁が、一層優しく揺れた。



“いつかまたきっと、ここで会おうね”――


薄桃色の空から、彼女の声が聞こえた気がした。









「桜の頃、いつかまた」

〜 Fin 〜