「あっ、廊下は走らないで下さい!」


詰所の看護師の声が背中に飛ぶ。


どうして――

どうして美咲が、こんなところにいるんだ?


僕はまだ、昼間会ったばかりの彼女がここに入院しているなんて信じられず、けれどそれを確かめる為に治療室に飛び込んだ。


両脇をカーテンで隔たれただけの、狭い空間。

そこに、声を上げて泣き崩れる見覚えのある姿を見つけ、僕はふらふらと近付いて行った。

神妙な面持ちの医師と看護師が、すれ違い様僕に小さく頭を下げる。

全力で走って来た動悸とは別の、言いようのない息苦しさが胸を襲う。


「美咲、……?」