「あれ……川瀬さんとこの、修ちゃんじゃないかい?」


聞き覚えのある声に、僕は畦道の先に目を遣った。

懐かしい顔が、微かな夕闇に浮かび上がる。


「タバコ屋の、……山中のおばちゃん?」


僕が驚いて名前を呼ぶと、おばさんは自転車を押しながらゆっくりと僕に歩み寄った。


「やっぱりそうかい。いやあ、すっかり立派な青年になって」

「ご無沙汰してます」


少し照れ臭いような気持ちで、僕はおばさんに頭を下げた。