まだ中学生の子供だった僕には、それでも一緒に居続ける父と母の気持ちがわからなかった。


否、今でも――

わかっていないのだと思う。


「……墓参りか?」


擦れた父の声が、音のない部屋に響く。


「ああ……ついでにちょっと荷物を取りに」

「そうか」


用もないのに、僕は長年使われていない薄暗い二階の自室に上がった。


それでも一緒に居た父と母は、それでも心のどこかで、お互いを必要としていたのかもしれない。


ずっと一緒に居ながら、すれ違ってしまった父と母。

母の最期に、二人は心を通わせ合うことができたのだろうか――


「じゃあ……帰るわ」

「ああ」


まだ縁側に座ったまま、猫の額程の庭を眺め続ける父の背中に声を掛ける。


「なぁ、父さん……」


父の白髪混じりの頭が僅かに傾く。


「……風邪ひかないようにな」

「ああ……気を付けてな」