「……病院?」


彼女は苦しそうに瞳を伏せた。

彼女の家は母子家庭だ。


「おばさん……どこか具合が悪いの?」


僕の問い掛けに、彼女は何も言わず一層悲しげに微笑んだだけだった。


「ありがとう、修ちゃん。私……行くね」


僕は黙って頷くしかなかった。


僕には――

彼女をこれ以上引き止める理由も、権利もない。


「修ちゃん、ねぇ……目、瞑ってて……?」

「え、?」


真っ直ぐに僕を見つめ返す瞳が、微かに揺らぐ。

僕は黙って目を閉じた。