もしも、あの日。


僕もずっと美咲が好きだったと抱き締めていたなら、今が変わっていただろうか。

必ず迎えに来るから待っていてほしいと約束したなら、彼女は今、僕の隣で笑っていただろうか。


「みさ、…」

「私ってね、」

僕の言葉より一瞬早く、彼女の声が重なる。

「ずっと、後悔してばっかり」


くすりと笑った彼女のきれいな横顔が、寂しげに揺れた。


「あの時告白なんてするんじゃなかったかな、とか、あの時、無理矢理にでも修ちゃんに着いて行けば良かったかな、とか……」


ひらひらと、彼女の周りに薄桃色の花弁が舞う。

彼女がそっと白く長い指を広げると、花弁が一枚、小さな掌に舞い落ちた。


「結婚なんて、するんじゃなかったかな……とか」

「……!」


僕は、思わず彼女のか細い肩を抱き締めた。

彼女は、泣いていた。