十年ぶりに再会した僕と彼女を、暖かな空気と沈黙が包み込む。


「ねぇ、修ちゃん……」


何を話せばいいのか頭の中で言葉を探す僕よりも早く、美咲が口を開く。

彼女はどこか遠い瞳で町の景色を見つめている。


「私ね、……二年前に結婚したんだ」


心臓を錆びたナイフで突かれたように、鈍い痛みが走る。


「そっか……おめでとう」


そうだ。

僕らは今年二十九になる。


美咲が結婚したって少しも不思議じゃない。

こんな田舎町で、しかも美咲程美人で優しい子なら、寧ろ結婚が遅い方なのかもしれない。