目覚めた後もあの寂しげな彼女の瞳が脳裏に焼き付いて消えず、妙な胸の騒めきを覚えた僕は、気付くと故郷へ向かう列車に飛び乗っていた。


僕は――

今もまだ、彼女のことが忘れられないのだろうか。


帰らなければならない、そう思った。

――たかが、夢なのに。

ましてや、彼女がまだここに居るのかさえわからない。


苔蒸した石段を上りながら、僕は馬鹿げた自分の行動に苦笑した。