「ったく……運動不足、だよなぁ」


肩で息を吐きながら後ろを振り返る。

足下から緩やかに蛇行しながら続くアスファルトの坂道が、春の陽溜まりに陽炎のように浮かんでいた。


昔はこの長い坂道を、毎日自転車で上っていたのだ。

体力作りの為に去年の春から始めたジム通いもこのところ仕事に忙殺され、全く足が遠退いていた。


小さく肩を竦め、僕は前に向き直った。

石造りの小さな鳥居の下。

目の前には十数段の石段が続き、見上げた先には春緑の木々が空に枝を広げている。


僕は一度大きく深呼吸をした後、重い足を上げた。