部屋にたどり着いた時には、もう日は落ち、暗く冷たい空気が二人を包んだ。

電気をつけ、袋の中の宝物を黙って元の場所に戻す。

それを、やっぱり黙って見ている雅美。

宝物が元の場所に落ち着いたのを確認し、雅美の元に戻る。


「俺は…………」


答えを届ける。

嘘の無い答えを。


「よそ見した。」


「…………」


「雅美が笑ってるから、油断してよそ見した。」


不安なんかなかったから。


「でも、違ってた。よそ見しても、見えたのは雅美だった。」


じっと見つめる瞳が切なく揺れた。


「あいつら………歯ブラシとかカップとか縫いぐるみとか……あいつらがいないと困る。」


「……どうして?」


小さな小さな声が、俺の心の奥をぎゅっと捉える。