嘘をついた。

俺は、雅美に嘘をついた。

嘘をついて夕貴と会っていた。









雅美は、嘘が嫌いだと知っている。

嘘が好きな奴などいないだろう。

嘘も方便。

でも、雅美は嘘をつかれることをとても嫌がる。

それは、決して見せることはないけれど、必死に平気な振りをするけれど、でも、嘘が嫌いだと知っていた。

自分はたくさん嘘をつくくせに。

嫌なことも、怖いことも、全部我慢して平気な振りをするくせに。

だから、嘘の回数が増ごとに、心を重くしていく。

俺は、知っていた。

知っていたのに………


俺に嘘をつかせないために……


自分から消えることを選んだ?








二年の間で少しずつ増えていった雅美の証しが消えた。