それは少し、でも、そんなに昔じゃない話。

 私は少し、悩んでいた

 悩んでいたって言っても、

 そんな難しい内容じゃなかったはずだった。

 普通の悩み。それが、あんなに膨らむとは思わなかった。

 いつものように圭兄に稽古をしてもらった時の話だった

 「駄目。全然駄目。失望」

 いつもとは打って違う、その答えに。

 少し胸が痛んだ。

 「失望」という言葉。

 あまり聞きたい言葉ではなかった。

 芽衣姉、愁姉、由樹、棗、圭兄、私

 みんなをあわせて、悪いけれど、私が一番弱い。

 1年違うだけでも、かなりの差。

 私はそれにすこしプレッシャーを感じていたのかもしれない。

 もともと、そこまで喧嘩や、戦うなんてあまり得意じゃない。

 それに、クラスの子に比べれば、レベルが違うが、

 それはクラスにいればの話。

 家なんか、嫌いだった。

 みんな性格がよくて、仲良くしてくれるし、あんまり怒らないし

 欲しいものは言えば、買ってもらえた。

 親が共働きだけれども、みんな家にいてくれるから

 寂しくなかった。

 でも、それでも、あの言葉は聴きたくなかった・・・・・・・

 不幸は不幸を呼ぶっていう。

 その一言からどんどん不幸は集まってきた