兎癒視点に戻します



 「おーい」

 由樹が声をかけた

私に感情はないから

 人形のように、首をかしげた。

 「一緒に帰らない?」

 友達なら「うん」とか「いいよ」とか

 できなかったら、「ごめんね」とか

 「今日は一緒に帰れない~また誘いって?」とか

 でも、私は感情を「こころ」を捨ててしまったから

 無言で静寂を放つ。

 でも、クラスの人たちは

 「由樹君あんな子に声かけなくてもいいのにー」 
 「キモ」 
 「うぜーガン無視とか・・・」

 そういって、私を責める。

 でも・・・・・・・・・


 由樹は違った。

 「まぁ、話もあるから、強制だけれど」

 
 そういって、優しい笑顔をくれた

 



 かばんを持ち、校門をでる

 2人、とぼとぼと無言で歩く。

 学校の生徒もだんだん少しいなくなっていて

 そして、今は

 もう、学校の生徒すら、町の人もいない

 しかも、私も知らない場所。

 「ここの空気、おいしいと思わない?」

 はにかんだ笑顔で優しく笑いかけられた。

 肯定もせず、否定もせず

 ただ、静寂を放つ。

 普通の人から見たら

 「面白くない人」なのに・・・・・・・・・・・なぜ、この人は笑いかける?

 「ねえ」

 由樹は笑いかけた。

 首だけ見せる。

 由樹は空を見上げて、呟いた