~由樹目線~


 

 兎癒は笑わなくなった

 それだけじゃなくて、もう何も望まない

 人形のような・・・・・・・人間のような・・・・・

 どちらでもない感じ。

 よくはわからないけれど

 いやな感じがする

 いやな感じというか、もう、

 絶対にあたる悪い出来事というか

 占い師が水晶玉が覗き込んで

 未来を言ってるような感じ

 決定的な証拠は・・・・・・・・・・・・・

 

 たびたび見える。

 すらっと見える、左腕にある、赤い傷。

 見るたびに胸が苦しく、締め付けられる。


 
 本当はね?

 いますぎ君を抱きしめたいんだ

 本当はね?

 君をいやな思いにさせるあの人たちを殴りたいんだ

 本当はね?

 いますぐ、泡のようにか細い唇をふさぎたいんだ。


 でも、そう思ってもできない僕は



 














 臆病者だ。

 絶対、兎癒より臆病者だ。

 人に嫌われるのがいやで、

 独りでいるのが苦しいと勝手に創造を描いて

 嫌われないようにして、本音をださないで、みんなに従う

 臆病者だ。

 こんなにみんな信頼しなくてもいい。

 臆病者を信頼しなくてもいい。

 でも、

 でも、


 俺を捨てないで