そう思っていた時、
「佐藤姉弟じゃないか!」

後ろから誰かに声をかけられた。

違和感と不満を抱いていた上の名前にも、今ではすっかりなじんでいる。

と言うか、人間界では人を呼ぶ時って上の名前の方で呼ぶんだな。

魔法界では同級生はおろか、先生も下の名前で呼び捨てだからな。

「過去!」

名前と共に服のすそを引っ張られ、俺は我に返った。

「ん、どした?」

「松井先生」

未来に言われ、俺は視線を向けた。

「何だ、ぼんやりか?」

スキンヘッドがまぶしい。