「ありがとな」

俺はそう呟くと、バクの鼻をなでた。

猛獣だとしても、俺からして見れば命の恩人も同然だ。

バクは巨体にはよく似合わないつぶらな瞳で、俺の顔を覗き込んだ。

けど俺が助かったのも、おふくろのおかげだよな。

おふくろがバクを連れてきてくれたおかげで、俺は首筋を切られただけのケガで済んだんだから。

少しばかり、見直した気がする。

言っておくけど、ほんの少しだけな!

「さっさと現実世界に帰るよ!

帰りたきゃさっさと離れな!」

少し声を荒げ、おふくろが未来とクロミさんに言った。

俺はその光景を幸せに感じた。