いや、いきなり求められても困ります。

俺は黙ってコーヒー牛乳を飲むことしかできなかった。

「長い間人間界に住んでたら、そのうちできるようになるわ」

未来が言った。

そのうちって…そうなるようにと、俺は願うよ。

「本当かね」

そう言っておふくろは懐から煙管を取り出した。

「ママ、タバコなら外で吸って。

我が家は禁煙だから」

未来が言った。

「おや、何で?」

「煙がうっとうしいから」

おふくろはため息をつくと、煙管を懐にしまった。

未来も結構大人だな。

そう思いながら俺は、
「なあ、未来」
と、声をかけた。

「んっ?」

「時間、大丈夫?」