俺の心の叫びに気づいてないと言うように、未来は目の下の光景を楽しんでいる。

高層の鉄筋コンクリートばっかじゃねーか。

人間様はよくもまあ、こんなもんを飽きることなく建てましたな。

「過去、嫌なら帰ってもいいよ?」

そう言った未来に、
「あっ?」

不機嫌が丸出し声で俺は返事をした。

そんな俺の様子を、未来は首を傾げて不安な顔をした。

「嫌なら魔法界に帰ってもいい、って言ってるの」

反抗していると言うような強気な声で、未来が言った。

「一緒にきて、なんて言った訳じゃないから帰るのは過去の自由よ?」

そう言った未来のこげ茶色の長い髪が風になびいた。

「あたし1人でも生活できるから」

そう言って未来は俺から顔をそらした。