「そうね、その方がいいのかも知れないわ。

とりあえずは、私の責任よ。

私があんな無防備なところを見せたせいで、こんなことになっちゃったんだから」

ため息混じりに、クロミさんが言った。

「クロミおば様は悪くないです」

そう言った未来にクロミさんは微笑むと、
「ありがとう、未来」
と、言った。

「お礼の話は後だよ。

さっさと荷物をまとめて、この場から立ち去ることが先だよ」

煙管を口にくわえながら、おふくろが言った。

「わかった」

未来と一緒に返事すると、俺たちは姿を消した。

けど、この時ばかりは黒幕の存在に気づけばよかったかも知れなかった。

俺たちを影で傍観していたヤツがいたこととヤツが行動を起こそうとしていたことにも、早く気づくべきだった。