「きゃはー!」

目の下の景色に、彼女はアニメみたいな叫び声をあげた。

「人間界だー♪」

彼女は興奮してると言うように両手を頬に当て、いやいやをするように首を左右に振った。

小さな子供のような目の前の光景をため息混じりで見るのは、彼女の双子の弟である俺だ。

何してんだよ、あんたは。

俺は彼女に気づかれないように、小さくため息をついた。

この光景にため息をつかないと言う方が間違ってる。

「過去」

いきなり名前を呼ばれ、俺はハッと我に返った。

「何だよ」

そう言った俺に、
「人間界♪」

天真爛漫の四字熟語が似合う笑顔を見せながら彼女――俺の双子の姉の未来が言った。

見たらわかっていることを言われ、俺はほうきから落ちそうになった。

そんなこと見たらわかってるわ!