「ひーめ、起きろ」

「……」

「ひめー!」

「……んぁ……?」

「起きろ」

「……ねむい……」

「……」

うん。だからこんなところじゃなくて部活と掃除を終わらせて家で寝れば良いんじゃないのかな? 女顔の眠り姫ちゃん。

「ひぃーめぇー!!」

ぐにーんッと頬を引っ張る。
もう引きちぎれるのではないか? というぐらいに。

「……いて……」

「起きろ!」

「晶が抱っこしてくれたら起きるぅ……」

「甘えんな!」

「抱っこ」

「自分で歩け!」

「ん」

と、両腕を晶に伸ばし、抱っこを催促する咲。

「アホか!」

晶はそう言って咲を一発叩き教室に入る。

「あー……」

さて、このまま襲ってくる睡魔の為すがままに廊下に寝っころがるのも良いが、下手したら晶にマジで置いていかれる。
なので咲は"眠い……"と考えながら、その睡魔によって重くなっている体を起こし、掃除に取り掛かった。