姫は晶の予想通り、晶の真横にぴったりくっついて歩いている。
まぁ、毎度のことだから当たり前すぎるんだけど……。

「ねぇ、見て見てー
今日はねぇ、ババロア作ったのー」

姫はその名前に等しい『クッキング部』に所属している。
姫は手先は器用だし、料理も美味い。
下手すればそこら辺の女やレストランなんかよりも格別に……。

そして今も手には容器に入ったみずみずしいピンクグレープフルーツの乗ったババロアなるものがしっかり持たれている。

「ババロア……? 美味いのか?」

「うーんと……多分、美味しいと思うよー」

「多分かよ……」

「いらないー……?」

「いーる」

そう言って姫の手からババロアの入った容器とスプーンを取り、一口食べる。

歩きながらだからこの上なく食べづらい……。