所属は硬式テニス部

中等部に居た頃のように軟式ではなく硬式なので、高一の時は力加減が果てしなく難しかった。

ちょっと軟式感覚で打てば、ネットを越え、フェンスを越え……そのまま外に居る連中にぶつかる。

そして、軟式に比べれば硬式の球はずいぶん跳ねるもんだから軟式感覚で前に行けば物凄く苦しい体勢に……。

そんな高一の時から比べれば大分普通になったと思う。

しかし無口、無愛想、無表情の
神無月 大翔(カンナヅキ ヒロト)
に比べれば自分なんてまだまだお子様レベルなのだが……。

「今日も大翔、絶好調じゃね?」

「な。今日もすっげー鬼畜な球だよな……」

ラインギリギリ+速球+回転かけまくり、これが大翔の球。とりあえず怖い。

「俺、大翔にだけは勝てる気ぃしねぇや」

「俺も」

そしてその鬼畜な球は後輩は疎か、先輩までもが羨望の眼差しを送るほど。

本人はちっとも鬼畜じゃないのだが……。