雨のあとに

朝になってあたしとレインとシーバーの三人は執務室に呼ばれた。今回のことをディーンたちに話す為だ。ディーンはあたしとシーバーの話しを聞いた後、今度はレインに質問をした。

『貴様が一緒にいた輩は何者だ？』

レインは小さく俯いて何も話さなかった。

『ちょっとディーン、レインが怖がるからもっと優しく聞いてよ。』

ディーンは咳払いをして、口を挟むなとあたしを睨みつけて同じ質問をした。レインは恐る恐る答えた。

『よく分かんない。あたしは物心ついた頃から暗い部屋に閉じ込められてたの。たまに外に出してもらえた時はヴィッセルに鍵を持たされて扉を開けろって言われるの。』

『扉？なんの扉だ。』

『よく分かんないけど、世界を支配できるモノがあるって。』

『何っ!?それはどのような物だ？』

『知らない、詳しいことは何も教えてくれなかった。』

その後もディーンは色々な質問をしたけど、レインの答えは「分からない」「知らない」だった。ディーンは深いため息を吐いて考え込んだ。そこに今度はレオンがレインに聞いた。

『扉は君の持っている鍵で開くのかい？』

『たぶん、だけど何かが足りないんだって。だから人を･･･。』

レインの瞳が曇った。それにレオンが気づいてレインの言葉を続けた。

『殺させたのか。殺された人はどういった人達なのかな？』

『ヴィッセルは魂の資質がなんとかって言ってた。』

聞けば聞くほど謎は深まっていくばかりだった。エレットも愚痴をこぼした。

『何も分からないではないか。まったく、誰か全てを知っている人物はいないのか。』

エレットの言葉にみんなは「それが分かれば苦労しない」と口を揃えて言った。だけどその時ハッと思い出した。

『いる、１人。あたしの知っている人よ。』

『誰だ、それは？』

ディーンは驚きながら立ち上がった。他のみんなも食いついた。

『あたしのお父さん。』

みんながエーッと声を上げた。当然の反応よね。それからレディアが言っていたことを話した。ディーンやカーダには同じ名前なだけじゃないかと言われたけど、あたしは絶対にお父さんだと言い張った。エレットに何故かって聞かれたけど、上手く説明できなかった。