雨のあとに

レディアは次々に攻撃してきた。さっき受けたダメージもあって避けるので精一杯。このままじゃやられる。その時、レオンの言葉を思い出した。「強い敵と戦う時は焦らず、相手を良く観察するんだ。」

そうだ焦っちゃダメ、レディアをよく見るのよ。さっきから風の魔法しか使ってこない?だったら風に強い魔法は・・・大地の魔法!!

剣を地面に突き刺して魔力を目一杯注いだ。すると地面が割れて、岩がレディアに向かって飛び散った。岩は見事にレディアのお腹に命中!

レディアは痛みで片膝を地面についた。あたしはすかさず剣を構えてレディアに向かって行った。するとレディアが左手を地面に置いた瞬間、レディアの足下に強い光を放つ魔法陣が現れた。レディアは魔法陣の中に沈みながらあたしに言った。

『今回は油断したがこの礼は必ず返しに行ってやる。セイシロウに伝えな、マリアは扉を見つけ出したってな。』

レディアは魔法陣の中に消えて、魔法陣も光の粒になって消えた。レディアが居なくなって、周りが急に静かになった。冷たい風が通り過ぎて、やっと浮かんだ言葉が「助かった…。」

扉ってなに?それにお父さんとどんな関係があるの?気になることはたくさんあるけど、今はレインとシーバーの事をどうにかしなきゃ。あたしは小さくうずくまったレインに駆け寄った。

『レイン、大丈夫?』

『うん…、アメは?』

『あたしは平気よ。』

レインを抱きしめると、レインの身体はとても震えている。相当怖い目にあってきたに違いないわ。

『陛下・・・。』

風に混じって聞こえたのはシーバーの声だった。

『シーバーっ!生きてたのね、良かった。』

『ええ、なんとか。』

レインと一緒に倒れたそうなシーバーの肩を支えた。シーバーはわき腹にヒドいケガをしていて、呼吸も荒くなっている。シーバーをゆっくりその場に座らせてからすぐに治癒術を使った。けれど魔力のつかいすぎで傷を癒やす途中で気を失ってしまった。